辺口芳典 Yoshinori Henguchi

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生乾き

働くことをやめたら、
死んだ。
ちぇっ。
そして、ただちに働いた。
精力的に働いた。
静かに宙に浮かんでいるイナズマに
ねじふせられて、
イチョウの木はゆれた。
やがて、
わたしたちは、
ショーウィンドウの
鉄のシャッターの騒音になった。
見返りを考えない騒音だった。
騒音たちは、
実に多彩に破壊されて、
ちりぢりになって、
チリンチリンって鳴り響いた。
チリンチリンって鳴り響いたその音は、
自分が無意味であることの満足を
試みているのだ。
ちゃんと、悔しい思いをして。

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