間違いを犯した
私は銀行でお金を下ろしていた。
君に会いたいと思った。強く念じたら君に会えた。
君の鍛え抜かれた見事な筋肉を
たくさんの人が たくさんの絵の具で水色に塗っていた。
君は裸で直立しているだけ。
銀行強盗が手ぎわよく迅速に動いている。
銀行強盗が水色の札束と水色の君を奪って行く。
「お前たちは 俺が耕した田んぼに似てる」
たくさんの人に向かって銀行強盗は吐き捨てるように そう言って出て行く。
「お前たちは 俺が耕した田んぼに似てる」という その言葉の連なりが
たくさんの人の足元をニシキヘビのような姿をして すり抜けて行く。
私はニシキヘビのような姿をした その言葉の連なりを絶対に許せないと思った。
私はニシキヘビのような姿をした その言葉の連なりに飛びついて、
その言葉の連なりの頭らしい部分を思い切り殴りつけた。
その言葉の連なりの頭らしい部分が ぐしゃっと醜い音を立てて潰れた。
潰れたところから、グレープフルーツとダージリンティーの匂いがした。