辺口芳典 Yoshinori Henguchi

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“おめでとう”

幻と、すれ違っていた。
なんとなく、すれ違った。“おめでとう”
どうでもいい気もしたし、
どうでもよくない気もした。“おめでとう”
意味を求めたのは愛の過剰です。“おめでとう”
あいまいさは、弱さのことではなくて、
あいまいさは、略奪の歌でした。“おめでとう”
他人のことで心を痛めること。“おめでとう”
いろいろなものを台なしにしてやろうと思いつくくらいに、
いろいろ台なしにされてきた人たち。“おめでとう”
路上で寝そべって聴く心臓の音。“おめでとう”

「太陽は私の心臓の音だ」と、幻は言いました。

「深海魚みたいな物語はどこで買えますか?」と、
台なしにされてきた人たちは言いました。

ところどころで、丸裸になったり、もがいて、もぎたての、
本当に真剣な声だった。“おめでとう”
何でもないものとして、本当に真剣な声が生まれていた。“おめでとう”

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