ホットな蛇足もある。
誰かを幸せにする ため息もある。
君の耳たぶに よく似た夜もある。
自由気ままなスパイもいる。
星々の衝突でできたサウンドトラックもある。
すてきな あえぎ声でできた惑星もある。
エレガントな初恋もある。
ヘッドフォンのような両親もいる。
絵はがきのようなレーサーもいる。
君の耳たぶに よく似た夜も明ける。
のこのこと のびのびと 広がっていく朝もある。
ごまかして 何か わからないまま笑ったり、
もういいよね そういうの。
はるか彼方まで とどく君の声が 僕の生活。
少しの時間だけど 僕は めちゃくちゃになれる。
君は 君の最後の ため息を
ロールスロイスみたいな 一匹のハエに聴かせたんだ。
バッハって なんのことだったっけ?
アンセムって どんな味がしたっけ?
僕の胃のなかで 夏が踊ってる。
たくさんのリズムやメロディーに揺れながら、
生きてることだけじゃ足りないっすよって 夏が歌う。
僕の体のなかから、夏は僕を ずたずたにする。
夏は 元気よく もがいている。
夏は 僕の体のなかから はみ出していく。
ベイビー、君は 青い海の はるか彼方で泳いでいる。
鳥の さえずりも 草木の ざわめきも連れていく。
ベイビー、夏が 刑務所の壁をサーフボードみたいにして
サーフィンしてる。夏が 元気よく ふざけている。
ベイビー、
僕を ずたずたにしてくれて ありがとう。
僕は 行き場のない浮浪者みたいに すがすがしい気持ち。
ベイビー、僕たちは ほとんど まがまがしい笑顔で、
自分たちが呼吸していることさえも それは幼い血しぶきだった。
ベイビー、正真正銘、何もないところから 遊び心が生まれた。
ビューティフルな ゆううつ、
粉々の お日さま、とろける気持ち、
あなたを そくばくして、
そして、
わたしたちは焼きそばを たらふく食う。
そして、
わたしたちは片っぱしから牛を描いた。
わたしの描いた牛は
砂浜に残されたビーチサンダルみたいに
たたずみ、
あなたの描いた牛は官能小説みたいに吠えた。
吸って、吐いて、叶える、
アイスクリーム、バニラ、チョコレート、
ストロベリー、レーズン、レモン、
フルーティーなコーヒー。
吸って、吐いて、叶える、
ドーパミン、惑星たち、愛した人たち、
別に たいしたことじゃないよ。
つつぬけの この世界で
満月と いっしょに泳いだりして、
あるときには わたしたちはライオンの えさ、
あるときには わたしたちの えさがライオン、
別に たいしたことじゃないよ。
わたしたちは絶妙なバランスの味わい、
吸って、吐いて、叶える、フレーバー。
あふれる光は あなたの血の中にある。
恐竜が あなたの血の中を歩き回る。
それは、当然の結果だと思う。
爆音は わたしの骨の中にある。
羽が もげ落ちるまでハゲタカは わたしの骨の中で
踊りつづける。
もげ落ちた羽の隙間から声が聴こえる。
それは、体あたたまる わたしたちの鼓動。
なんの迷いもない まなざしで本を読んで、
共感よりも、しずまらない おびえに納得する。
あなたと わたしの違いを感じる。
からだが震えている。わたしは笑っている。
魂を水のようにして、
僕たちは その水のような場所で泳ぐ。
目ざめたら、
カエルや昆虫のグロテスクさがセクシー。
もちろん、人間もグロテスクでセクシー。
部屋の窓際に置いてあるレコードのB面に
何かの はらわたが張り付いていて、
それを指で押してみたら木琴の音がした。
砂漠みたいなシャンソン聴いて、
高速道路みたいな下着を着けて、
この瞬間、君の開いた口が、僕の開拓地。
もし青空に穴が開くなら、
つじつまあわせの命を終わりにして、
世界に耳を傾けること、
コトコトコトと、
「命は虚勢を張るってジャンルだよ」っていう
光と影の声が聴こえた。
「その虚勢がキュートかどうかが勝負」っていう
君の背骨の声が聴こえた。
僕の足の裏は笑った。
コトコトコトと、トコトコトコと。
張り裂けそうなギターの音、伸びすぎた髪。
いっしょうけんめいに たのしく暮らしてる。
実に自然に、実に わがままに。
躍動、ジャンプ、ダンスっす。
Perfect Day、はみ出した人たち、クラッシュ、
冗談と輝き、火花と敬意。
僕の指先からホルンの音、
君の つま先から きれいな口笛。
からだのありさま、からだがありました。
たちまち、この街にも、ぼくたちがいます。
なぜ、聴こえるんですか?
つらぬかれた踊り、アケハナタレタ窓。
なぜ、聴こえるんですか?
おにぎり、音符、モンゴロイド、ともだち、アンドロイド。
たちまち、この街にも、ぼくたちがいます。
ぼくたちは何があっても平気。
たかだか沈むだけ。たかだか狂うだけ。
ほら、星空みたいにオレンジジュースを抱きしめて、
ほら、ひらがなみたいに恋に落ちて、
終わってしまえば一瞬かもしれないけど、
ほら、まだ終わっていないし、
ねころんでは、たまに見つめあって、
おきあがっては、静かに移動していくだけ。
なぜ、聴こえるんですか?
グラデーションで、ねんねんころりん、ねんころりん。
グラデーションで、えんやーとっとー、えんやーとっとー、
えんやーとっとー、えんやーとっとー、えんやーとっとー。
グラデーションで、少しずつ変化してる。
たちまち、この街にも、ぼくたちがいます。
目を見て、目のなかに、広い芝生の あったかい場所がある。
からだにさわって、
ぼくたちの かだらのなかに、雪がふって 音が消える場所がある。
なぜ、音が消えるんですか?
つらぬかれた踊り、アケハナタレタ窓、
おにぎり、音符、モンゴロイド、ともだち、アンドロイド、
ぼくたち。
なぞでありつづける。
スイヘー リーベー なぞでありつづける。
ほら、星空みたいにオレンジジュースを抱きしめて、
ほら、ひらがなみたいに恋に落ちて、
ほら、たましいが通りすぎるだけ。
スイヘー リーベー ボクノフネ。
スイヘー リーベー リーベス レーベン。
たかだか変わるだけ。たかだか笑うだけ。たかだか愛するだけ。
ヒントはない、ピントもあわない、
だけど、もう始まってる、自由。
自由、自由、自由、自由、自由。
さようならって言って、しがみつかないよ。
いろいろ置いて行く暮らし。
だから、自由、自由、自由、自由、自由。ぼくは背中。
よちよち歩きの背中。ぼくは ようちだから、もっと自由になる。
こわくない、この世界はぜんぶが こわいから。
もっと自由になる、この世界はぜんぶが よだれだから。
この地面すれすれに鳥が飛ぶ。
大きな馬が、巨大な ひづめで淡々と ぼくの頭を踏みつける。
頭がガンガンする。頭がガンガンする。頭がガンガンする。
ぼくの頭がガソリンみたいにヌメヌメになって、ガンガンする。
だけど、どんどん体が軽くなってくる。
どんどん、どんどん、どんどん、どんどん、どんどん、
それから、どんどん頭も軽くなって、ぼくの頭も地面すれすれに飛んで行く。
頭も体も すっかすかになって、ぼくは むき出しの裂け目。
頭も体も ぐっちょぐっちょになって、ぼくは むき出しの入れ物。
むき出しのすべてを つぎ込んでも、足りなかった。それって笑えるよ。
ワンタッチ、キャッチ、デストロイ、ステディー、細々と、読み継がれて、
この世を去った人たち、生きていく人たち、
フランス、オランダ、イタリア、イスラエル、スペイン、ドイツ、アメリカ、
中国、韓国、ポルトガル、トルコ、日本、大阪、みんなのうた。
忍耐強く、ごつごつとした手で、無力なわけないやん、生きてるんだから。
みんなの手で触って、みんなで形をつくっていけそうな感じ。
シンバル鳴らして、ジェットマシーンでトリップ、信じることは当たり前。
小鳥たちが弾丸みたいに、ぼくたちの頭脳を ぶち抜いていく。
スクリューして、ねじ込んで、のんびりと、くつろいだ関係。
突き破られながら、ほころんで、細胞と細胞の隙間から温かさの うねり。
手渡してくれた水。テーブルに並べられた ぶどう。
ハエが一匹、あなたの肩に止まった。ハエの体から、車が走る音が聴こえた。
車の中で鳴っている音楽も、車の中で交わされる会話も聴こえた。
ハエが一匹、あなたの肩に止まった。ハエの体から、車が走る音が聴こえた。
車が猛スピードで空間を切り開く音が聴こえた。
ハエの体から、
車の中で鳴っている音楽も、車の中で交わされる ぼくたちの会話も聴こえた。