雨も水たまりもゴミ箱も人ごみも 目一杯感じながら 僕の頭の回転はのろまです。 そんな気持ちで あなたと手をつないで歩いた。 地面のひび割れ、 地面すれすれで飛んでいる鳥。 見覚えあるものはひとつもなかった。
静けさは静けさを越える。 たとえば僕のまばたきも静けさのひとつで、 あなたの体温も高層ビルも静けさだった。 唇とおへそは汗をかかない。 涙は枯れない。
僕の息づかいが夜風になって夢を見る。 僕は夢の中で夜風に手をふった。