辺口芳典 Yoshinori Henguchi

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居心地の悪さを力強く吠えた

世界と自分と灰皿と
たぬきとガラスの表面や米粒を
ただ信じた。
潰れた遊園地や汗や
安宿のロビーやサービスエリアを
ただ信じた。
「他にすることがない」
「ほんと地味で地道な反復は素敵だ」
「貧相で、なまなましく」
「疲れて、恥ずかしい、みっともない」
「そして、わたしは女の幽霊を塩で ごしごし磨いた」
「わたしは いつの間にか暗闇を睨んでいた」
「少しも劇的ではない」
「何かの続きということなんだ」
「夜を生きのびるとき、助けになるものは他人の産声だ」
「地味で地道な声だ」
「暗闇が深まり、涼しい木々の香りが退屈を飲み込んでいく」
「行ってきます」
「わたしの詩は裸で、裸の詩は他人の裸に触ることができた」
「わたしの詩は、歌を妊娠する」
「わたしの詩は、新しい名前を産み落とす」

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copyright © 2014 Yoshinori Henguchi All rights reserved