青い花瓶から流れるDO BE DO BE DA DA
おばあちゃんは嘘をつかない人だった。
嘘をつけない病気だと言ってもいい。
「新しさとペテンと果物と愛妻家とカーネーションと
カプチーノとレインボーとマッシュルームと美しさと退屈は
まとめてゴミ箱に捨ててしまったよ」と おばあちゃんは言った。
「わたしの成長を待ってくださいね」と おばあちゃんは言った。
「おばあちゃんの成長を いつまでも待つよ」と わたしは言った。
「何を知った風なことを言ってるんだよ」
と おばあちゃんは わたしに言った。
「お前に言ったんじゃないよ」と おばあちゃんは わたしに言った。
「そんな お前を軽蔑します」と おばあちゃんは わたしに言った。
「お前には無敵になってほしいね」と おばあちゃんは わたしに言った。
「どんなに がっかりする出来事があっても
お前は目の前の波に乗って ただリラックスしてサーフィンすればいい」
と おばあちゃんは わたしに言った。
「一度、比喩と笑顔については じっくりと考えないといけないね」
と おばあちゃんは わたしに そう言い残して 青い花瓶の中に消えた。
後には ささやかなダンスミュージックと潮騒と潮の匂い。