猫への敬意、炎への愛着
私は、今を生きている肉体。
私は、ただのナマケモノの思考能力。
私は、数えられ、計られ、削られる毎日を過ごしている。
私は、右手に五本の指を持っていて、
右足に五本の指を持っている。
右足の親指は、宇宙に祝福されたような形をしている。
私は、右足の親指に、
「宇宙に祝福されたような形」という名前をつけた。
「完璧な美の象徴」である右手の中指が雨に濡れて光っている。
雨に打たれたくらいが気持ちいい夏の日。
私の赤ん坊は、ヘソの緒を噛みちぎって生まれてきた。
私は、そんな赤ん坊に、
「ヘソの緒を噛みちぎって生まれてきた」という名前をつけた。
夏が、迷いもなく今を発狂している。
美しいという言葉では足りない、凄まじくも素朴な光景の中で、
「発狂していないことを許してください」というのが私の名前だった。
所蔵:
菊池良助