味は落ちない
砂に寝そべるように、目を覚ました。
ぶざまに、はるかに遠く、僕の息づかいが目を覚ました。
じれったい曲線が、こわごわと前に進んでいくような
息づかいだった。
涙の重力が曲線をばらまいた。 手の出しようのない曲線があった。
肘を使って、身をくねらせて曲線は進んだ。
「つつしみなんていうものは死んでからできる」と言って
曲線は曲線を描きながら進んだ。
曲線が描いた曲線の怒りは本物だった。 うっとりした。
こじ開けられていく。
首をしめられて、何も解決していないのに、久しぶりに笑った。
僕たちは、すぐに吹き飛ばされるところにいて、
なかなか吹き飛ばされることはなかった。
雲もない、鳥の姿も見えない、ぼうっとした顔つき。
安全というものからは、ずっと遠くにいた。 すごくほっとした。
川辺の焚き火みたいに、それが何であるにせよ、じっと照らされて、
友人たちの頬には赤みが差している。
どう考えても、それはダンスだと思った。 本物の怒りは極めて温厚だ。