タフさを宿っている
五角形の海鳥は時おり
海底の圧迫感を受信して うたた寝。
うたた寝をした海鳥の脳裏には
めくるめく月明かりが降りそそいでいた。
五角形の海鳥は人間の親指を身ごもっている。
人間の親指は海鳥の英雄だった。
五角形の海鳥は時おり
「予言が過去を侮辱するように、
記憶が未来を営んでいるのだ」と考えた。
五角形の海鳥は時おり
「重さのない棺桶は 声のない九官鳥と似ている」と考えた。
声のない九官鳥のことを考えるときだけ、
五角形の海鳥は あらゆる意味で六角形になった。