発育しています
日だまりに のたうち回って、
母の骨の匂いを振り下ろす。
ほんの少しだけ、
性別も落ち込んだ顔も 開け放たれた音を刻む。
大胆不敵さを、はらわたが望んでいる。
目の前に広がる はらわたの大きさは倍になって、
また倍になって、また倍になって、
ほとんど夜の大きさになった。
産毛のはえた木材が裂け続ける夜だった。
アルミホイルに包まれたブルドーザーは鉄格子を抜けて
夜から出て行った。
他人の美しさに困惑するだけの肉の塊にならないように。
疑う心をやめないように。
おだてられれば それが傷口になって、ひからびて、
それぞれが それぞれの馬鹿さ加減を持て余しているような感じ。
愚かで孤独な生活をインクに変えて、
そのインクで手紙を書いて、その手紙は世界の崩壊にさえ似ていた。
月の表面には 手紙の中身が映し出されている。
月の表面から 甘くて懐かしい母の骨の匂いがした。