なにかの、血の中
液体に拒絶された裂け目に耳を澄ませて、
あるいは、ほんぽうな愛情から高揚感と自由を抜き出して、
宇宙と必然の極限まで、
願わくば数十分に一度ずつ、単純に、
あなたを楽しませるのだ。
花より優しく、つぼみや雷より激しく、
容赦のない黒い瞳の奥には、背の低い人間が暮らしていました。
背の低い人間は嫌になるほど馬鹿で、手あかまみれで、
それでも誇りをもって、底なしに見えた憎しみの習慣を越えて、
「なにかの終わり」が生まれ落ちて、
「なにかの終わり」には裂け目があって、
あっという間に その裂け目は液体に拒絶されて、気体に拒絶されて、
個体に拒絶されました。
背の低い人間は成長するにつれて、
誰からも拒絶されていた裂け目に耳を澄ませて、確信をもって、
「なにかの和解です」と書かれたドアを そっとノックした。
「なにかの和解です」と書かれたドアをノックするたびに、温かい傷みを感じた。
その傷みは どこか心地良い。