イルカはイスの夢を見る
躍動感が何なのか分からなかった。
うぶ毛が何なのか、
沈黙が何なのか分からなかった。
動き回るヒトのカラダ。その過酷なまでの分からなさ。
わけが分からないという気持ちになった。
それはグロテスクであり、みずみずしい告白だった。
動き回るヒトのカラダ。動き回る告白。
背もたれに花が咲いているイスがあって、私は腰を下ろした。
そこからは自分の影がよく見えました。影って面白い。
影は弱々しさを保っている。その弱々しさには心がこもっていた。
すべてを目撃することはできないけれど、
心のこもった弱々しさはワイルドなバッドトリップを知っている。
自分の思い込みを吹き飛ばしてくれるワイルドなバッドトリップ。
動き回るヒトのカラダ。動き回る連想。
自分を疑うというアイディアが罪になって、
そして、自分を疑い続ける体力が私の罰になった。
いわれのない罰、受けます。
決定的な宇宙の力強さに巻き込まれながら、
個性の弱々しさを実現し続けている暮らしは確かなエンターテイメントだと
思っています。
動き回るヒトのカラダ。動き回るワイルドなバッドトリップと踊る営み。
すべてのワイルドなバッドトリップが眠りについた後に、イルカはイスの夢を見る。
だだっ広い野原のようなイスの上で、私は寝転んで詩を書いた。
所蔵:
庄野祐輔