鍵を回す
「木こりは結局いつも斧を手に入れる」
「アルコール中毒者はアルチュウと呼ばれた」
「アルチュウの作り笑いは地球の上に立ち尽くしていた」
「うそいつわりなく、立ち尽くしていた」
「あなたの作り笑いは他人の欲望によって変形する」
「変わり続ける」
「あなたの作り笑いが永遠に広がっていく」
「何一つ、死んだままではいられないのでした」
「粘り強い作り笑いが太陽に届いた」
「あなたの作り笑いは太陽の上に立ち尽くしていた」
「洗いざらい、立ち尽くしていた」
「もっと洗いざらい、立ち尽くしていた」
「何ごともなく、空には満月が浮かんだ」
「誰からも見捨てられた動物は骨のようなその肉体を光らせた」
「満月は無防備な液体となって地面に落ちた」
「地面に広がる満月に木こりは斧を振り下ろす」
「音が鳴る」「みずみずしい満月の音が鳴る」
「アルコール中毒者はアルチュウと呼ばれた」
「アルチュウは地面に広がっていく満月をすくい上げて顔を洗った」