二秒か三秒くらい あざやかな満月が変形して、 野良犬みたいな顔になった。 おだやかな叫び声を上げて、 野良犬みたいな顔は その口から泥を吐き出した。 野良犬みたいな顔が吐き出した泥は 私の生まれ育った土地に落ちた。 私たちは その泥を丸めて泥だんごを作った。 私たちは その泥だんごを放り投げて遊んだ。 私たちの投げた泥だんごは 地面に落ちることなく途中で止まるんだ。 空中の泥だんごは満月のように光っている。