辺口芳典 Yoshinori Henguchi

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捕まらない

旅をする。
流れ星のように。飛行機雲のように。
一歩踏み出す。確実に前を見て。
ただただ致命的な一歩を楽しむ。

私は、たくさんの声を聴いた。
私は、たくさんの夜空を見た。
私は、私たちが少しずつ死んでいく静かな夜を知っている。
私は、ぎゅっと握った両手の拳を挙げて、
永久に後戻りできない弾丸のようなこの世界を笑ったりもする。

私は、たくさんの声を聴いた。
私は、たくさんの夜空を見た。
私は、路上に捨てられていた喪服に雷が落ちるところを見た。
喪服が鳴いていた。一頭の猛獣のような鳴き声で鳴いていた。

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