不思議な異性
太陽と海の間で男と女は お互いの傷を舐め合っていた。
男と女は馬鹿だから、その瞬間が いつまでも続くと思ってた。
透明な海を突き破ろうとして、男と女は青空を突き破った。
太陽を突き破ろうとして、男と女は お互いの傷を突き破っていた。
男と女は痛みを感じている。
男と女は ゆっくりと柔らかく死んでいくことを実感した。
男と女は満ち足りていた。
世界は精密で、男と女は服を着て働くマシーンだった。
男と女は服を脱いで働くマシーンにもなれた。
きっと男と女は この世界を憎んでいるのだろう。
のこのこと、男と女は この世界を愛しているのだろう。
男と女は すべてを与えられて、そして一つずつ盗まれていくのだ。
それでも、男と女の全財産は0にならなかった。
男と女は野原や道端で眠るようになった。
「触れるのは体だけにして、心には触れないで」と女は男に言った。
それでも、男は何度でも女の心に触れようとするのだった。
「お前のライフルで 俺のこの頭を吹き飛ばしてほしい」と男は女に言った。
「でも、もっと恐ろしい瞬間に、私の暴力はとっておきたいの」と
女は男に言った。