祝杯を上げる
どこにも行き場所がないこと。
いつも びくびくしているような感じだよ。
「みじめで、恥ずかしくないですか?」という言葉が
血管中を駆け巡っていた。
「みんな死んだ。だから、お前も死ね」という言葉が
鼓膜の手前で破裂した。
だから、私の耳は聞こえなくなった。
死ぬことを怖がっていること。
殺すことを怖がっていること。
わからない。
ほっとするくらい、何も わからない。
「みじめで、恥ずかしくないですか?」という言葉が
血管中の あちこちで破裂した。
体中が ちくちくしているような感じだよ。
だから、私は口の利けない恋人に
ちくちくしているような箇所を舐めてもらっていた。
何が悲しいのだか わからないけど たくさん涙が出た。
「たくさん涙が出たはずなのに、世界は水びたしにならない」という言葉が
血管中を駆け巡っていた。
「誰も この永遠を壊すことはできない」という言葉が
私の頭の中で破裂した。
だから、私は耳の穴から本物のゲロを吐いた。 祝杯が よく似合うゲロだ。