にじみ出てた
わたしには心があった。それが あなたを少々狂わせるのだった。
あなたには心があった。それが わたしを少々狂わせるのだった。
だけど、ここが行き止まりだとは思わない。
あなたが作ってくれた お昼ごはんが おいしいから。
あなたと歩いた夜の道が たのしかったから。
わたしたちは いびきをかいて、
夢の中で、最高に履き心地のいい靴を履いて、月の上で ひと暴れした。
わたしは あたらしい心を発明した。それが あなたを少々狂わせるのだった。
だけど、わたしは発明することをやめない。
わたしたちは月の上を全力疾走して、火星めがけて おおきくジャンプする。
わたしたちは火星を通り越して、水星も飛び越して、木星に着地した。
木星には一人の画家がいて、少しおどおどした様子で
「よく来たね」と言いながら握手をしてきた。
見渡せる限りの一面に わたしたちの心が描かれていた。
いくつもの惑星に直接描かれた わたしたちの心に圧倒されたのを覚えている。
わたしの心は あなたの心を受け止めるふりして、本当は無関心なんだ。
すごく無防備に、息を殺して、汗かいて、ものすごくがっかりしたりして、
わたしたちの心が地面に散らばっていく。
それでも、わたしの心は あなたの心と お昼ごはんを食べたりしたい。
一緒に美しさや楽しさを過ごしたい。みじめさや いじらしさを過ごしたい。
それでも、わたしの心は あなたの心を笑わせたいんだ。
わたしの心よ、あなたの心を ゆらしてくれ。 そう願うんだ。