くされ縁の友だち
おびただしい鼻水が夜遅くまで愚かで、
滴り落ちる記憶喪失はますます記憶喪失になって、
失うものが多すぎる。 たぶん持ちすぎたんだ。
蚊をつかまえてまっすぐに投げる。
とくに急ぐ様子もなく、蚊は警備員の鼻の先端にとまった。
警備員はくつろいでいるように見える。
「正当な殺人がないなら、正当な生活もないだろう」
そして警備員は笑った。
「正当な生活があるなら、正当な殺人もあるだろう」
そして警備員は踊った。
まるで、すがすがしい退屈が優雅な身のこなしで
人殺しをしているみたいに踊っていた。
蚊は警備員の鼻の先端にとまり続けた。 そして警備員は踊り続けた。
警備員にとっての正当な殺人とは、熱心に踊ることだった。