辺口芳典 Yoshinori Henguchi

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よいん

見物人がこっぱみじんに紙吹雪を出産して、
見事な青紫の夜が とろりとした液体になった。
その液体に 夜のすべてが凝縮されている。
シーツやベッドもろとも、恋人たちは液体の夜と愛し合った。
液体の夜はひどく静かで、耳の奥がじーんとしびれるようだった。
液体の夜はやがて傾き、女の口に飲み込まれていく。
液体の夜を飲み込む音は 明らかに躍動的だった。 

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