命は無能
意味のない労働を閉め出すのではなく、
命に従っていた。
犯罪に対する願望や、無惨な殺人の物語が
手応えのあるものではないのだと思い知るまで、
僕は死ぬほど殴られていた。
地面に突き倒され、むしり取られて、僕は学んだ。
「気に入らない」ということを学んだ。
「気に入らない植物」「気に入らない妊娠」
「気に入らないクイズ」
「気に入らない自己破壊」「気に入らない再生ボタン」
「気に入らない連帯感」「気に入らない高速道路」
「気に入らない座禅と戦闘機」「気に入らない性癖」「気に入らない筋肉」
「気に入らない敵意」「気に入らない水玉模様」
「気に入らない親切」「気に入らない卑怯者」「気に入らない生存」
「気に入らない観光気分」「気に入らない憧れ」「気に入らない本能」を、
「気に入らない言葉と沈黙」を、「僕は、これを家族と呼んでいる」