正面から緊張をほぐそう
青い花瓶のなかに
女の粘膜を見つけた。
女の粘膜と多くの歌謡曲は直結していた。
女の粘膜は四つんばいになって注目の的になっている。
「価値のあるものを持っていない」と
女の粘膜は歌った。
「自己犠牲の精神は全くない」と女の粘膜は歌った。
「欲望は裏切られても美しいはずだ」「紙くずは真実です」
「腕や脚を失った人たちの頭から湯気がのぼって、
息づかいはロマンス小説そのものだった」と女の粘膜は歌った。
「茶色い音符は弱音を吐いた」「真っ黒い音符は怒りをぶちまけていた」
「深い灰色の音符は欲望を腐らせて見放されている」
「最小単位」「最も小さな物質は欲望なのに」と女の粘膜は歌った。
「破壊され続けてきた赤色の音符は素手だけで鹿を殺した」と
女の粘膜は歌った。
「熊が殺された」「狼が殺された」「牛が殺された」
「喜劇の後で悲劇が殺されて、悲劇が殺された後で喜劇が殺された」と
破壊され続けてきた女の粘膜が歌った。
「欲望は裏切られても美しかったし、馬鹿馬鹿しかった」と
破壊され続けてきた女の粘膜が歌った。